レジェンドオブレガシーの感想 – 尖りまくった純粋なゲーム

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先日クリアしたところでフリューの3DS用RPG「レジェンド オブ レガシー」の感想など。かつてサガシリーズの戦闘を作ってきたクリエイターがゲームデザインを手がけた、昔風であることを強く打ち出したRPGです。サガシリーズを思わせるようなイラストやシステムが盛り込まれているものの、実際にプレイしてみるとまた違った雰囲気でした。

今時の、ゲームを進めたご褒美にストーリーを見せてくれるものだったり、キャラを魅せるための舞台装置なんかではなく、ゲームそのものを楽しむことを主眼に置いた純粋なゲームと言えます。そんな尖った設計な上、システムがかなり取っ付きにくく、ものすごく人を選ぶでしょう。ゲームはキャラのオマケなんかじゃないと言わんばかりのこんなゲームは個人的には大好きですが、普通の人には決してオススメはいたしません。

まず、ストーリーを読み解くことさえもゲームの一部です。主人公ごとの大きな目的はあるものの、長いイベントでストーリーが語られることはほとんどありません。あるのは遺跡に残された断片的なメッセージと、1つしかない町の人たちとの会話、最小限の台詞に抑えられたイベント程度のものです。舞台となるアヴァロン大陸とは?精霊とは?神とは?などの情報を自力で集め、世界を理解していくゲームです。おそらく読み解いた量次第でエンディングの感想も変わってくるんでしょう。

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話を進行させるだけでも一筋縄ではいきません。はっきりと次の目的地を提示されることはなく、あくまでも自分でどこに行くかを考える必要があります。高いお金を払って行き先を増やすも、できる限り足で探すも自由。ダンジョンの情報を売ってお金を得ることもできますが、そのタイミングも難しいところです。

新エリアでは仕掛けを解きつつ地図を埋めていくスリリングな探索が待っています。ザコ敵ですらかなり強いですが、どこでもできるセーブやダンジョンの入口まで強制的に戻されるという全力逃亡なども活用しながらどう攻略していくか、試行錯誤することが求められます。もちろんボスはさらなる強敵で、もちろん倒し方を模索する必要があります。数え切れないほどの全滅、逃走、リセット、という道は人によって比重こそ違うでしょうがおそらく避けては通れません。

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強敵と戦う戦闘システムも独特のものです。最大の特徴はプレイヤーと敵の関係に加え、精霊との契約関係や精霊同士の関係が大きく戦況を左右する「双次元バトル」です。一見普通のサガ風バトルですが、実際に戦ってみると状況によってダメージが大きく変化したり、最初は意味の分からない表示があることに気づきます。この戦闘システムがどんなものなのか、精霊は戦闘にどんな影響を及ぼしているのか、それらを読み解くのもゲームです。

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戦闘中に発生する、サガシリーズの閃きとDS版サガ3SoLのリアルタイム成長を合わせたような「覚醒」システムも特徴的です。さすがに電球は出ませんが、派手な演出とキレのある効果音は爽快感抜群。サガシリーズをプレイしたことがあればレベルのない成長システムも含め、割とスムーズに入れます。もちろん高確率での成長を望むならば、ただでさえ強い敵よりもさらなる強敵に挑むことになります。

戦闘を有利に進めるためのシステムも独特です。キャラのパラメータは分かりやすいHP・SPと、抽象的な「ATTACK」「GUARD」「SUPPORT」の3種類。さらに技にはパラメータと同系統の3種類の熟練度が設定されていて、使い込むほどに強化されていきます。陣形はキャラの役割を自分で指定して作る仕組み。盾役は全員の攻撃を受け流し、サポート役は精霊を操り、攻撃役がダメージを与えるといった戦術を最大6種類切り替えながら戦えます。やれること、やるべきことがかなり多いのでどう最適化していくかが腕の見せ所。

90年代のイメージらしいのですが、どちらかというとFC版ドラクエ2やFC版FF2に、GB時代のサガシリーズ、それにWiz系のダンジョンRPGを合わせたような取っ付きにくさとゲームとしての遊びが詰まっていたようなゲームでした。今時の親切さなどとはほぼ無縁、理不尽で辛い箇所も多いですが、新しい発見をした時と難関を突破した時の快感はまさに昔のゲームそのものです。途中でつまづくことも含めて計算されてるんでしょうね。システムの細かい説明もある意味ネタバレになりかねません。

ゲーム性とは何か?とかRPGの面白さとは何か?といった様々な事を考え直すきっかけにもなりましたし、他のゲームではまず得られないような独特の体験をさせてもらいました。正直もうちょっと取っ付きやすくてもいいんじゃないかと思う部分は多すぎますし、一部のバランスは理不尽と言えるほどです。ですが、それらも含めてゲームを読み解いていく楽しさを味わえたのは久しぶりでした。繰り返しオススメはしませんが、それでもやってみたいという人なら挑戦する価値がある作品です。