アークザラッドシリーズ

タイトルリスト

機種タイトル満足度メーカージャンル発売日
PS1アークザラッドSCERPG1995/06/30
EZアークザラッドSCERPG2006/07/13
PS1アークザラッドII10SCERPG1996/11/01
PS1アークザラッド・モンスターゲームSCERPG1997/07/31
PS1アークザラッドIIISCERPG1999/10/28
WSアークザラッド~機神復活~バンダイRPG2002/07/04
PS2アークザラッド 精霊の黄昏SCERPG2003/03/20
PS2アークザラッド ジェネレーションSCERPG2004/11/03

アークザラッド(PS版)

アークザラッド
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーSCE/ジークラフト
発売日1995年6月30日
機種プレイステーション
セーブデータ1ブロック/1ファイル
最大3ファイル
標準プレイ時間10時間前後
難易度普通
ロード時間普通
購入状況中古
満足度
プレイ時期1996年10月頃
公開2001年5月22日
最終更新2009年2月19日

アークザラッドシリーズの第1作目。「光と音のRPG」というキャッチフレーズで、ムービーによる演出、画面全体に広がる画面効果、T-SQUAREの安藤まさひろ氏によるBGMや、声優陣がしゃべりまくる戦闘などを売りにしたRPGです。フィールドがそのまま戦闘画面になるシミュレーション風の戦闘や、お金など多くの要素を省略したシステムが特徴的です。続編の「アークザラッド2」とストーリーが繋がっていて、2本で完結します。FF7の為にPS1を購入した頃、面白いRPGがあると紹介されてプレイしてみました。

まるで媚びていない独特のデザインのキャラクターや、他のゲームとはちょっと違った特殊能力、セリフのセンスなど、ゲーム全体に流れる独特の雰囲気が個人的に好きです。召喚獣や精霊などのデザインは特にユニークで、アークザラッドの世界観の独自性を表現しています。BGMはクオリティが高く、いい意味でRPGっぽくないので、独特の雰囲気をかもし出しています。ゲームの展開は、ランダムエンカウントに耐えながらの長距離移動や、不毛な迷宮探索といったものを完全に排除してあり、普通のRPGの倍以上のテンポで進行します。この試みは大成功とは言いがたいものですが、面白い発想だったとは思います。

続編の名作アーク2にデータを引き継げるため、短いゲームながらもキャラクター育成が楽しいです。目標として最大レベルが60に制限されているのが、適度なバランスと言えるでしょう。巨大なダンジョンやレベル上げなど、やり込んだだけ続編が有利になるので、他のゲームとはちょっと違った気分でプレイできます。別にやりこまなくても、アーク2で不利になるということはほとんど無く、どこまでやりこむかはプレイヤー次第という自由な空気が好きです。

一方、最高の状態でアーク2に引き継ごうと思うと、半端じゃない根気を必要とされるのが難点です。巨大な遺跡ダンジョンはまだいいとしても、低レベルでの進行や闘技場の1000回バトルには、不毛さすら感じます。アーク2のためという目的がなければ、こんな辛いだけのやりこみ要素に手を出す人はほとんどいないでしょう。また、知らないと絶対に取れないようなアイテムがいくつか存在するのも、引継ぎ前提のゲームとしてはあまりにも不親切です。

引き継ぎを前提だと考えれば気にならないところですが、1本の据置機向けRPGとしてはあまりにも小さいボリュームと、「俺たちの戦いはここから始まる」というあたりでの唐突なストーリーの終わり方にはちょっと問題があるでしょう。せめて一つの話に決着をつけてから続く形になっていればよかったのですが。ゲームバランスにもちょっと問題があります。ある程度レベル上げをすれば楽勝で、強いキャラの単騎突入がものすごく有効だったりするヌルさがある反面、レベルの平均化を目指した上で、特にレベル上げをしないでおくと思わぬ大苦戦を強いられるなど、非常に大味です。因縁の敵や最終ボスは、とてもボスとは思えない平凡な強さだったりもします。

単独でみると色々と問題のあるゲームですが、名作アーク2を楽しむためのプロローグ兼準備用ゲームと考えればそれなりに楽しめます。プレイするなら、その点を割り切るべきです。準備用としてはボリュームの小ささがかえって有難かったりします。引き継ぎ特典はかなり重要なものがあるので、アーク2をプレイするならアーク1をプレイし、多少やりこむことは必須です。なんにせよ、アーク2あってこそのアーク1だということは間違いありません。

アークザラッド(EZアプリ版)

アークザラッド
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーSCE
配信サイトEZ-SCEJ
価格従量525円
サイズ約1.49MB
紹介リンク公式サイト
発売日2006年7月13日
機種EZアプリ(BREW3.1対応機種)
セーブデータ1ファイルのみ
標準プレイ時間10時間弱
難易度やや簡単
プレイ状況1周クリア
満足度
プレイ時期2007年1月
公開2007年1月6日
最終更新2007年1月6日

同名のPS用ソフトをアプリに移植したもので、携帯機向けにカットイン演出が追加されています。公式携帯サイトでは「PSの大ヒット作を完全移植」と書かれています。アーク1は今さら遊ぶまでもないとは思うのですが、携帯の機種変更をしたついでに携帯アプリの実力チェックを兼ねて試してみることにしました。ちなみに機種はW43SAです。

携帯アプリの容量制限があって演出は当然のごとくチープになっていますが、テキストはゲームの仕様変更に伴う変更部分以外、しっかりとほぼ原作通りに移植されています。一部のちょっと変わったアイテムの入手法なんかもしっかり再現されています。移植である以上、当然と言えば当然ですが。また、背景グラフィックは思いのほか綺麗でした。

しかし、完全移植と言っている割に、ゲーム部分の再現度が低いというのはどういうことなのでしょうか。パラメータからレベルアップ時の表示メッセージ、敵の思考ルーチンにマップ構成まで中途半端に変わっており、全く再現へのこだわりが感じられませんでした。敵が弱くなったのか味方が強くなったのか、結果として難易度も低下しています。

演出面でも、BGMの曲数減少は仕方ないところですが、オープニングやエンディングの曲まで使いまわすのは無しでしょう。残っている曲でさえ意味も無く使用するシーンが変更されていて、原作が持っていたムードがぶち壊しです。かと思えば無音のシーンがあったりして、一体何を考えて設定したのか理解に苦しみます。ムービーやボイスが削除されるのは仕方の無いことですが、削除した分のフォローがされていない箇所もありました。

そして、携帯アプリの容量制限が相当きつかったのか、ゲーム中にかなりの頻度で通信が入ります。パケ代も馬鹿にならないレベル(普通にプレイしているだけで20000パケット超)ですし、なんと言ってもテンポが大きく削がれてしまいました。最大60KBという通信を、多いときでは一度に11回も行われてはたまりません。地下50階建てのダンジョンでも新フロアへ移動する際に通信が発生し、とてもじゃないけど奥まで進む気にはなれませんでした。

アーク1はアーク2に続く1本のストーリーの前編なのですが、コンシューマ用RPGとしては圧倒的なボリューム不足と言われたこのアーク1さえ満足に移植できない現状では、データを引き継いでのアーク2なんて話は夢のまた夢でしょう。そもそもアーク1の大きな魅力はアーク2への準備にあったわけで、それができないとなればとても極める要素をやる気になれません。また、新規プレイヤーにとっても、前編のみのストーリーに魅力があるでしょうか。一体このゲームは誰が楽しむために配信されているのか分かりません。

正直、ダウンロードしたことを後悔しています。パケット代もダブル定額ライトの初期費用1000円ではとても収まりませんので、たかが525円のアプリにかなりの金額を費やしてしまったものと思われます。そして何よりも、アークザラッドシリーズがただのPR材料としてクオリティも省みずに使われている現状を再確認させられたようで、非常に悲しい気持ちになりました。こんな代物を「完全移植」だなんて言わないで欲しいものです。「携帯アプリだから」で済ませるつもりなら、せめて「アークザラッドEZ」とかそんな違った名前を付けて、別物であることを明記していただきたいものです。今は損したという気持ちと失望しかありません。

アークザラッドII

アークザラッドII
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーSCE/ジークラフト
発売日1996年11月1日
機種プレイステーション
セーブデータ2ブロック/1ファイル
最大3ファイル
標準プレイ時間60時間以上
難易度普通
ロード時間普通
購入状況新品
プレイ状況攻略記事作成
満足度10
プレイ時期1996年12月頃
公開2003年1月20日

前作「アークザラッド」の後編。新主人公のエルク達に加え、前作の主人公のアーク達も登場してストーリーは完結します。前作のデータを引き継ぐコンバート機能や、アイテム個別に設定されたパラメータ、仲間モンスターシステムに、ギルドをはじめとする豊富なサブイベントなど、多数の要素が盛り込まれた RPGです。当時はFF7発売までのつなぎにと思っていたのですが、見事にハマってしまいました。

最大の魅力は、当時としては圧倒的に自由度が高く奥の深いシステムです。レベル上限が非常に高い上に、武器と特殊能力に熟練度があるキャラ育成をはじめ、各種アイテムがそれぞれにレベルやパラメータを持って鍛冶屋等で鍛えられるなど、育成システムだけでも充実しています。仲間モンスターシステムも非常に充実しており、クラスチェンジを絡めた育成はなかなか楽しいです。さらにはアイテムの種類も非常に多く、しかも鍛冶屋に持っていくとそれぞれに固有の解説文が読めるため、それらを集める楽しみもあります。モンスター図鑑も埋めるだけで楽しめますし、そこに適度なシステムのヒントが散りばめられているのも見事な設計です。試行錯誤すればするだけ新しい発見があり、しかもプレイヤーにそれを強制する雰囲気がない自由度の高さが良いです。

また、かなりのボリュームを誇るメインシナリオに加え、サブシナリオが非常に充実しているのも大きな魅力です。仕事を請け負うギルド、宝捜しができる遺跡、さらには隠しキャラに関連した濃いシナリオが入っていたりと、かなり遊べます。全てこなそうとするとかなりの時間がかかってしまいますが、それに見合うだけアイテム等で見返りがあるので飽きさせません。これだけのボリュームがあることで、システム面での試行錯誤がしばらくはただの作業にならずに済むのもありがたいところです。

しかし、これだけのシステムを搭載しているのに、プレイ環境があまり良くないのが問題です。フリーズなど動作が不安定になることが多いですし、戦闘のテンポは悪いです。最大の欠点は、アイテム数やモンスター数が多いのに、所持数制限が非常にきつく、しかも預かり所的なものが存在しないことです。また、運に左右される要素が多く、上を目指すとなるとリセットを連発することになってしまうのに、ソフトリセットやロード機能が搭載されていないのも痛いです。一度クリアしたら入れないダンジョンが多いのも残念なところです。

サブイベントのボリュームがありすぎるほか、コンバートシステムまで採用したせいで、ゲームバランスはお世辞にも良いとは言えません。圧倒的なボリュームのシナリオも、各キャラクターに順番に注目しようとしたのか、中盤の展開が単調でだれてくるのも事実です。難易度が急に上がる時期と重なるため、育成や試行錯誤などの目的を持たずにプレイするのはちょっと辛いかもしれません。

欠点も数多くありますが、当時としては圧倒的なシステムとデータ量はそんなものを軽く吹き飛ばすほどの魅力があります。前編のアーク1やユーティリティ的なモンスターゲームと合わせてプレイすれば、末永く遊べます。RPGはストーリーを見るゲームだというプレイヤーには向かないかもしれませんが、攻めの姿勢でシステムを楽しむプレイヤーにとっては最高のゲームと言えるでしょう。私が今までにプレイした中でもナンバーワンのゲームです。テンポ向上や預かり所の追加などをした改良版をリリースしてほしいのですが、無理でしょうかね。

アークザラッド・モンスターゲーム ウィズ カジノゲーム

アークザラッド・モンスターゲーム
ウィズ カジノゲーム
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーSCE/ジークラフト
発売日1997年7月31日
機種プレイステーション
セーブデータ2ブロック/1ファイル
最大3ファイル
難易度やや難しい
ロード時間普通
購入状況新品
プレイ状況2作ともクリア
満足度
公開2009年3月1日
最終更新2009年3月1日

アークザラッド2のセーブデータを使ってオリジナルの闘技場に挑む「アークザラッド・モンスターゲーム」と、ミニゲーム集の「アークザラッド・カジノゲーム」のセットです。メインとなるのはモンスターゲームで、主にモンスターを使った闘技場でのバトルや、別のセーブデータを読み込んで対人戦やアイテムトレードができるという、ファンディスクとしての要素が強いゲームです。発売から3年ほど経過した2000年頃にこのゲームの概要を知り、慌てて10件以上の店を探し回った結果、なんとか新品で入手することができました。

別のセーブデータとのアイテムトレードが自由にできるので、アイテム倉庫ツールとして大活躍してくれます。アーク2本編ではアイテムの所持数制限が非常に厳しく、コレクションの楽しみを満たしてくれなかっただけに、これは嬉しいです。また、アーク2本編で極めて入手の難しいレアアイテムの入手先としても活躍しますし、このゲームでしか入手できないアイテムもあって、アーク2の楽しみをさらに広げてくれます。そのほかにも、充実した設備があることや、セーブデータの直接ロードができるなど、やりこみに便利な機能が揃っています。

アーク2本編ではほとんど活躍の機会がなかった仲間モンスターに脚光を当てたというのが、面白い発想です。アーク2本編ではいくら頑張ってモンスターを鍛えても、人間キャラほどの戦力にはならず、使い道がなくて残念だったのですが、ここではモンスターがさらなる強敵と戦えるので、モンスターを鍛えた甲斐があるというものです。一定条件を満たせば人間キャラも参加できる配慮もされています。

ただし、あまりにも自由度が高すぎるため、あっさりとアーク2本編のゲームバランスを破壊することも可能という側面も持っています。これは公式チートツールと言われても仕方が無いでしょう。1度クリアした後に楽しむならいいのですが、アーク2の1周目の時点でこのゲームの機能を最大限に使えば、アーク2自体が全く面白くなくなる危険性もあります。ある程度このゲームの特性を理解した上でプレイする必要があります。

モンスターゲームのメインとなる闘技場は、それほど面白くはありませんでした。基本の闘技場チームと戦うモードは、全てが頭の悪いオートバトルなので全く楽しくありません。勝ち抜きモードは自由に操作できるものの、ただ戦闘するだけで、しかもレアな賞品をもらうためのノルマが厳しすぎて面倒くさいです。対人戦は、アーク2のシステムそのものが対人戦向きではないので、よっぽどプレイヤー側でルールを作らない限りは楽しめないでしょう。特にストーリーがあるわけでもなく、モンスターの数が揃っていないと十分に戦うこともできないので、やりこみ目的でなければ全く楽しむことができないでしょう。

アーク2を1度クリアして、さらにやりこみたい人向けのちょっとマニアックなゲームです。プレイスタイルに応じて様々な使い方ができるので、このソフトの使い方と価値を理解できる人なら、アーク2の楽しみを何倍にも膨らませてくれるツールになります。メモリーカードがあればアイテムをいくらでも保存できる、ということに魅力を感じる人なら、プレイしてみる価値はあります。もう一本のカジノゲームはオマケ程度のものですが、ファンなら一度やってみてもいいでしょう。ディスク版は出回っている数が少なく、入手はやや難しいですが、PSP専用のアーカイブス版は存在するので、多少手を出しやすくはなりました。PS3に対応してくれればアークファンにとって朗報だと思うのですが。アーク2を遊び尽くしたい人は是非。

アークザラッドIII

アークザラッドIII
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーSCE/アークエンタテインメント
発売日1999年10月28日
機種プレイステーション
セーブデータ1ブロック/1ファイル
標準プレイ時間40~60時間程度
難易度やや簡単
ロード時間普通
購入状況新品
プレイ状況攻略記事作成
満足度
プレイ時期1999年10月頃
公開2002年3月12日
最終更新2009年2月19日

アークザラッドシリーズの第3作目。ギルドで受けた仕事をクリアすることによってストーリーが進行する方式や、シミュレーションRPG風の戦闘、アイテム合成・モンスターカードなどの新システムが特徴的なRPGです。アーク2の3年後の世界が舞台となっており、前作同様にセーブデータを継承するシステムを採用しています。非常に面白かったアーク2の続編ということで、期待を持って購入しました。

前作での大きな不満点だった戦闘のテンポやアイテム所持数などが改善され、遊びやすくなりました。前作までは中途半端だった図鑑やギルド仕事のリストは、全てがナンバー付き管理されて達成度が分かりやすくなるなど、かなり整備されました。アーク1の特徴でもあった独特の名前の特殊能力や、アーク2で人気のあったギルドシステムなど、シリーズの長所を取り入れることも忘れてはいません。一方でアーク1・2にあったクセの強さが抜け、明快なストーリーに明るいキャラ、シンプルになったシステムなど、かなり取っ付きやすいゲームとなっています。ゲームバランスもやや簡単なレベルで最初から最後まで安定し、ボリュームは長すぎず短すぎずと丁度いいです。アーク1と2の長所を生かし、短所を消すという発想は悪くありません。

しかし、アーク2のファンにとっては不満の残る部分が数多くありました。ストーリーはアーク2のものを完全にふいにしているようで納得いかないものでした。アーク2のキャラの扱いは全体的に悪く、登場する必然性が感じられませんでした。また、図鑑やリストをコンプリートすることが暗黙の目標になっているようで作業っぽくなり、2のようなやるもやらないも自由という雰囲気が失われているのが残念です。戦闘時の連続攻撃など、アークっぽい演出もテンポ改善のためにカットされ、アークっぽさがないと感じることもしばしばでした。データの引き継ぎも大したメリットがなく、別に無くても良い程度のものでした。

ギルドイベントをクリアすることで進んでいくストーリーに、あまり面白さを感じられませんでした。メインシナリオ自体、仕事として与えられたからこなすという感じでイマイチです。サブ的なギルドイベントは、アーク1・2では考えられなかったようなただ青臭いだけの話だったり、邪魔くさいだけのミニゲームだったりと、やっていて面白くありません。長い長いイベントを見た後に、やる必要が無いほど簡単な戦闘を行ったり、だらだらと退屈なミニゲームのために40分も拘束されたり、不必要に難易度の高いミニゲームがコンプリートへの道を阻むなど、一つ一つの出来がイマイチです。

システム面もシンプルになった分浅く、完成度があまり高くありません。そもそも色々な要素があるものの、何をしてもそれほどパーティが強くなれないため、試行錯誤する楽しみが弱いです。アイテム合成は最大6個のアイテムを入れるなど極めて分かりにくく、試行錯誤しようという気も失せてきます。モンスターカードは、前作の仲間モンスターと流行りのトレーディングカードを合わせて作ったのでしょうが、使用効果や交換の方式などが練り込み不足です。図鑑を埋めてしまうと他にやることがないというのも、アーク2から見ると大きな退化だと言わざるを得ません。

細かい部分では、モンスターカード絡みでフリーズが発生したり、特殊能力を使うとその合間にロードが入るなど、ちょっとした部分の快適性に問題がありました。オマケ要素のデンジャードーム(闘技場)やカジノは、難易度が低すぎて稼ぎ放題という面白みも何も無い存在になっています。アイテム類は中途半端に体系化され、数は多いもののどれも属性違いや素材違いばかりで、あまりバリエーションを感じられませんでした。

アーク1と2のいい部分を合わせ、欠点を解消し、流行を取り入れ、前作までのファンを満足させ、一方で万人向けの作りをして新規ユーザーの獲得を、という感じで作られたように見えますが、結果的にはチグハグなゲームになってしまいました。特にアーク2ファンが何を求めていたのか、アーク2の魅力はどこにあったのかを理解していなかったようで、アーク2の続編としての期待は裏切られ、失望させられました。ただし、それなりに万人向けの作りにはなっていますし、図鑑や仕事リストを埋めていくのは意外と面白いので、アークシリーズだと思わなければそこそこ楽しめるゲームなのも確かです。興味があり、アーク2の熱心なファンというわけでなければ、プレイしてみてもいいかもしれません。

アークザラッド~機神復活~

アークザラッド~機神復活~
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーバンダイ/SCE
紹介リンクバンダイによる紹介
発売日2002年7月4日
機種ワンダースワンカラー
セーブデータ最大3ファイル
中断1ファイル
標準プレイ時間15~30時間程度
難易度普通
購入状況新品
プレイ状況攻略記事作成
満足度
プレイ時期2002年7月頃
公開2003年3月17日

アーク3の3年後の世界を舞台とした続編。アーク2のゲームの流れをベースにしつつも、ラッシュモードやAIモードなどの新システムが導入されています。PSで生まれ、PSで育ったRPGと宣伝していたアークが、なぜか敗北が決定的になっていたWSCに登場したことで、発売当時はそれにだいぶ失望させられたのを覚えています。そのおかげでスワンの世界に触れることができたのも事実ですが…。

アーク2の一部のキャラが仲間になるのは嬉しいですし、シナリオもまずまず無難にまとまっています。さらにWSCの低解像度でもアークらしいグラフィックが表現されているのには驚きました。アーク3で鬱陶しかったギルドイベントもオマケ要素の一つになり、理不尽なミニゲーム等を排除して短めにまとまっていて遊びやすいです。割とアーク2を意識しているのが好印象でした。携帯ゲームのRPGにしてはそれなりに隠し要素などもあり、それを探す楽しみもありました。

セーブデータにメモをつけておける機能や、戦闘中に中断できる機能は、攻略記事を作る私のような人には便利でした。使い勝手はやや微妙でしたが、ショートカットキーが設定できるのもいい配慮です。

ただ、過去のキャラに関する話を多く入れた分、新キャラのフィニアの印象がどうにも弱すぎます。ギルドにしても、理不尽なミニゲームは無くなったものの、理不尽な選択肢問題がいくつかあってリセットを余儀なくされるのにはうんざりしました。シナリオ中に張られている伏線のうち、重要そうなものが全然回収されていないのも気になりました。続編を作る予定だったのでしょうか。

そして何より、バトル部分の出来が悪すぎます。特にゲームバランスは完全に破綻しています。ザコ敵には難なく勝てても、中ボスには1ダメージしか与えられないのが当たり前で、攻撃力と防御力のバランスがひどすぎます。さらに、通常攻撃のコンボ演出がレベルアップとともに長くなり、しかも敵の思考時間(?)や移動時間も長いため、終盤は無駄に長い時間がかかります。そして、新要素のAIとラッシュモードはかえって邪魔なぐらいで、完全に蛇足です。

操作感覚の悪さも気になりました。扉から出たりすると、あるタイミングになってからもう一度ボタンを押しなおさないと歩けないのには、慣れるまでイライラさせられます。移動速度もちょっと遅く感じられました。

アーク3の後日談を見てみたいというシリーズのファンならば楽しめますが、それ以外の方にはおすすめできません。わざわざハードを用意してまでプレイするほどのゲームではありません。ファンにとっては無難な出来ですが。伏線が気になるので、続編か何かを出して欲しいのですが…。

アークザラッド 精霊の黄昏

アークザラッド 精霊の黄昏
ジャンルRPG(タクティカルバトル)
メーカーSCE/キャトルコール
紹介リンク公式サイト
発売日2003年3月20日
機種プレイステーション2
セーブデータ166KB/8ファイル
標準プレイ時間30~40時間程度
難易度普通
ロード時間普通
購入状況新品
プレイ状況攻略記事作成
満足度
公開2009年3月2日
最終更新2009年3月2日

アークザラッド3までの世界の1000年後を描いた続編です。人間と魔族という2つの種族が対立している世界を舞台に、人間側主人公のカーグと、魔族側主人公のダークの2つのシナリオを交互にプレイしていくスタイルが特徴的なRPGです。シミュレーション風の戦闘は、グラフィックが3D化されたことによりマス目が廃止され、移動や攻撃範囲などが円形に変更されています。アークシリーズの続編ということで、あまり期待はしていなかったものの、やっぱり買いました。

使い尽くされた感のある前作までの世界観から、1000年後に舞台を移して新展開にしたいうのは評価できます。続き物をやりすぎると、アーク3のような前作を無視したものになったり、機神復活のような保守的なものになりがちなので、完全に新しくするというのはいい判断でしょう。旧作に関連した話題があちこちに散りばめられていて、シリーズファンにはそれを探す楽しみがありますし、新規ファンでもそれなりに入りやすいでしょう。ベタベタな正義の味方を地で行く人間側主人公と、それとは対照的な力こそ全てという魔族側主人公の対比が面白いです。2つのストーリーを交互にプレイしていくうちに、徐々に流れが1つになっていくという流れがちょっと新鮮です。

ゲームバランスは、一直線にプレイしていればちょっときつく、少し金稼ぎをしたりして鍛えると楽になる、適度な難易度と言えるでしょう。武器と防具の装備は、それぞれ3つのパーツをセットすることで、安易な最強装備が存在しないという設定が良いです。また、ポイントさえ貯めれば技を好きな順に覚えられるというシステムは個人的に好きです。旧作とは別の方向性でシステム面の自由度を高めようという試みには好感が持てました。

しかし、新しくなった戦闘システムはイマイチでした。移動範囲を円形の自由移動にしても、ゲームとして面白くはなっていません。敵の移動範囲や攻撃範囲をマス目単位で測ることが出来ず、かなり分かりにくいため、作戦の立てようがありません。また、攻撃範囲と立ち位置を微調整しながら、最も多くの敵を巻き込むといった面倒な作業を要求されるのも好きになれませんでした。さらには、シミュレーション風の戦闘なのに、敵の詳細な情報がどうやっても得られないのも問題です。

戦闘のテンポが極めて悪いのも、戦闘のつまらなさを強調してしまいました。何といっても、敵の落としたアイテムやお金などをいちいち「拾う」のが面倒くさすぎます。精霊石やアイテムを個別に敵から確保して、という戦略性を作りたかったのかもしれませんが、裏目に出てしまいました。勝利条件が敵の殲滅なので、ボスの落とすアイテムを拾いたければ雑魚を残す必要があるなど、余計な手間ばかりが目立ってしまいます。技を使う度に出る光の演出や、全体的にもっさりとしたモーションも長くてイライラさせられますし、カメラ移動にやけに時間がかかることがあるのも痛いです。

遊べる要素がやけに少ないのも気になりました。やりこみ要素としては闘技場があるにはあるものの、それだけです。ギルドを始めとするサブイベントが無くなり、アーク2のようなシステムを突き詰めていく楽しみや、アーク3のようにリストを埋めていく楽しみもありません。ゲーム展開も、数少ないダンジョンでさえ、ほとんど宝箱や仕掛けがないなど、インパクトが弱いです。探索、育成、やりこみといった楽しみがやけに希薄です。

重い題材を扱ったストーリー重視のゲームなのに、オチの付け方にはガッカリさせられました。また、人間側のキャラはベタベタを狙いすぎて印象が弱く、魔族側キャラはルックスに魅力がないと、イマイチでした。細かい部分では、メニューの使い勝手にクセがあり、使いにくいのも気になりました。個別の所持アイテムやMPの代わりに消費する精霊石の分配など、何かとやりづらいです。戦闘時に待機する場合でも、いちいちメニューを開くのは面倒でしたし、ボタン配置がアーク3と変わっているのも疑問です。

新章スタートという試みは評価できますが、このゲームのどのあたりがアークザラッドなのかまるで分かりませんでした。発売前のティザーサイトには「アークらしさを徹底的に議論した」みたいなことを書いてありましたが、結局その答えはなんだったのでしょう。全体的に遊び心が無く、やけに生真面目な作りなのもアークらしくないところです。システムやちょっとしたセリフの中に、もう少し遊び心を加えたら面白くなったかもしれません。とは言え、地味ながらも致命的な欠点はなく、そこそこ丁寧に作られてはいるので、それなりには遊べるゲームです。興味があるならプレイしてみてもいいですし、そうでないならあえてプレイする程でもない、そんなゲームです。

アークザラッド ジェネレーション

アークザラッド ジェネレーション
ジャンルRPG(アクションバトル)
メーカーSCE/キャトルコール
紹介リンク公式サイト
発売日2004年11月3日
機種プレイステーション2
セーブデータ41KB/1ファイル
最大3ファイル
コピー不可
標準プレイ時間15~25時間程度
難易度やや簡単
ロード時間普通
購入状況新品
プレイ状況攻略記事作成
満足度
プレイ時期2004年11月頃

「アークザラッド精霊の黄昏」の5年後を舞台とした続編です。オフラインで普通にプレイするだけでなくオンラインで他のプレイヤーと協力・対戦ができたり、カードの実体化という形でシリーズのキャラが登場することなどが特徴的なRPGです。アークシリーズとしては初めて戦闘がアクションバトルになっています。オフライン部分とオンライン部分でまるで別のゲームなので、分けておきます。

オフライン部分

歴代キャラクターが登場するということで、発売前はかなり期待していた作品でしたが、プレイするにしたがって、その期待は大きく裏切られました。

新たに導入されたアクションバトルが全然面白くありません。できることがとにかく少ないためか、ザコ敵は数回殴っては逃げ、殴っては逃げの繰り返しを続けるだけという味気ないもの。ザコ敵のHPがやたらに高く、通常攻撃で倒すなら4段攻撃を4回も入れなくてはならないということもしばしば。それでいて一部の強すぎる特殊能力を使えばあっさりと倒せてしまうバランスの悪さ。さらにアイテムやHP回復などを落とすのは倒れてから少し経ってからなので、倒してからもさらに待たなくてはならないという時間のかかる仕様。これでは、テンポの向上どころかストレスをさらに増やすだけです。ボス敵は、性能の高い特殊能力で押し切るのがセオリー。戦略性もなにもありません。

さらに、オンライン対応にするための設定が多いためか、オフラインのRPGとしての出来がかなり犠牲にされています。レベルアップの概念が無いので、戦闘をすることにメリットをほとんど感じられず、ひたすら面倒くさいです。ステータス強化の最後の手段である装備品の変更も、合成パターンが分からない限りは無理という。そもそも合成しようにも、材料を入手するためには好きなときに入ることもできない冗長なダンジョンにいるモンスターを倒すしかないなんて不親切すぎです。逆に、合成レシピ情報さえ知っていれば簡単に最強装備を揃えることができてあっさりと難易度が下がったりもします。また、戦闘中にポーズをかけられないのは致命的。

シナリオ関係はダメダメですね。ゲーム展開がかなり単調に感じます。薄っぺらいメインシナリオに、ドラマをまるで感じない機械的なギルド仕事。というか、ギルド仕事がフリーバトルエリアみたいなものなのに、失敗すると貴重なカードだろうが何だろうが没収されるというのはどうかと。精霊の黄昏で作った世界をそのまま流用しているために、新しい発見もまるでなし。せめて図書館内の本の内容ぐらい入れ替えてもいいような…。

カードを用いたシステムの設定も苦しすぎます。歴代キャラクターがカードの実体化という形で登場する必然性が皆無で、単にシリーズのファンを呼ぶための要素にしか思えません。また、前作の武器パーツなどといった概念がどうなってしまったのかも全く説明がされず、納得がいきません。

結局のところ、これはオンラインゲームのオマケなんでしょうかね。オンラインのゲームバランスなんかを重視したために、オフラインにおけるRPGとしての出来は犠牲にされたのでしょうか。ジャンルがRPGというのはちょっと無理がある気がします。はっきり言って完全に期待はずれでした。ついでに、予約特典のヒストリーディスクやカレンダーにもやる気がまるで感じられませんでした。まぁ、結構憎めないソフトだったりもするのですが、決定的に面白くありません。

オンライン部分

まず、オンラインサービスはとっくに終了しています。

発売から割と時間が経ってからオンラインを始めたのですが、アークで他の人と交流できるってのがなかなか楽しかったです。アークキャラを使ったネタ遊びをしてみたり、アークの話をしたりというのにはなかなかいい場所でした。それなりのルール設定をして、ある程度装備を自制したメンバーが集まれば対戦もそれなりに楽しいですし、装備なしなどの条件で協力仕事をするのにもなかなかハマりました。

ただ、ゲームバランスの崩壊ぶりはとてつもないものがありました。回復を使えば対戦が冗長になり、ハメなんてものも当たり前のように存在し、特殊能力は便利なものがやたらと火属性に偏り、キャラの属性のバランスと弱点を突いたときのダメージなんかもぐちゃぐちゃで、使えるキャラと使えないキャラの差は激しく、防御力のバランスもひどく、それはもう悲惨な有様でした。何らかのルールを設定するか、ハメ殺し合戦にするかしないと、ろくに対戦にならないというとんでもない仕様。

最大4人で協力できる仕事の難易度の低さもひどいものでした。口コミやネット情報があれば簡単に最強の装備が用意できると言うのに、最強の装備をした4人パーティだと負けることが全く考えられないレベル。むしろ、難易度最高級のところに装備無しで突撃しても楽しめないことはない難易度です。せめてフル装備で協力する楽しみを味わえるバランスの場所も用意できなかったのでしょうか。

オンラインは好きなキャラを使って参加できるのがいいのに、歴代キャラクターが中途半端にしか出ていないのは理解に苦しむところです。特定の装備でないとキャラの色を変えられなかったり、ルームでは走ることしかできなかったりと、楽しむ部分がやたら不十分なのも気になりました。チャットの使い勝手の悪さやエラーの多発、メインメニューの使い勝手の悪さなど、細かい部分も非常に甘いです。

結局のところ、これはオフラインゲームのオマケなんでしょうかね。オフラインのゲームバランスなんかを重視したために、オンラインにおけるRPGとしての出来は犠牲にされたのでしょうか。…両方オマケ? もっと時間をかけて作りこんでもらいたかったですね。ゲームもできるアークのキャラチャットと考えれば悪くありませんけど。これでいいのかアークザラッド…。

みどりすたいる雑記管理人の所持&プレイ済ゲームリストゲーム感想集>アークザラッドシリーズ
最終更新:2009年3月2日 制作:ちょこた