3DS版の配信が決まったということで、移植元となったAndroid版「クロノスアーク」の感想など。元々はガラケーアプリからの移植で、ドット絵で表現された2DのRPGです。発売元のケムコはここ10年ほどガラケーやスマホで大量のRPGを配信しているメーカー。開発は最近「ねこあつめ」が話題になったヒットポイント社です。
一見シンプルな見た目ながらも、謎解き、ジョブチェンジ、魔法の改造、武器強化、クエスト、図鑑など様々な要素が詰め込まれているのが特徴です。グラフィックやシステムはPSPの「幻想クロニクル」などとベースは同じなので、プレイしたことがある人は似たような感じだと思ってもらえれば。いないか。
まさにRPGの王道ともいえるドット絵のグラフィック。今時こういうゲームで遊べるということ自体が貴重です。音楽も昔のRPGっぽい曲になっていてなかなか雰囲気があります。最初から割と行動範囲が広いこともあって、自分の手で攻略していく感覚が味わえるのが楽しいです。序盤から瞬間移動ができるので移動のストレスも少ないです。
見た目は王道でシンプルですが、中身は今時の要素が多く取り入れられています。ダンジョンで拾い集めた素材で武器や防具を強化・生産するのはその代表です。他にも特定の敵を倒す、特定のアイテムを集めるなどのサブイベント的なクエストもあります。本編以外の要素も活用してキャラを成長させて難易度の高い本編に挑むという、見た目以上に骨太のゲームです。
容量が厳しかった携帯アプリ発のRPGとしては珍しく、スイッチなどのギミックを使った謎解き要素がほとんどのダンジョンに入っています。プレイヤーが行動を1つ起こすとシンボルエンカウントの敵が動くという、エストポリス伝記2を思わせる要素もあり、他の携帯RPGとは一味違ったタイプの懐かしさがあります。こういうの好きな人は好きですよね。
最初のうちは割と楽しめるのですが、後半になってくるとギミックがワンパターンな上にやけに面倒くさくなってきて飽きてくるのが残念なところです。それでも1回だけならいいのですが、ダンジョンに入りなおすたびにほとんどの仕掛けが初期化されてしまうのが痛すぎます。ダンジョンに何度も潜って素材を集める要素のあるこのゲームにおいては致命的。なぜこんな仕様にしたのか理解に苦しみます。
携帯から高解像度のスマホに移植したせいか見た目がスカスカになってしまったものの、戦闘のドット絵は思いのほかよくアニメーションします。システムはオーソドックスなターン制。携帯RPGならではのオートバトルや高速化もきっちり搭載されています。
勝敗のカギを握るのが魔法のカスタマイズです。威力アップ、連発、全体化などの効果を組み合わせることで「高威力の魔法を敵全体に3連射!」みたいな豪快なセッティングが可能です。後半は強さがインフレしてきますが、敵も相当強くなっていくのでやられる前にやるのが基本になります。装備の強化も含め、準備が大きく影響するキツめのバランスはやり応え十分です。
同じヒットポイント社の幻想クロニクルやマシンナイトよりも後発の作品ですが、ゲーム内容は古い作品よりもシンプルになりました。良く言えば馴染みやすくなり、悪く言えば進歩が無いというか。旧作は割と適当に進めることもできましたが今作はそうもいかず、純粋にシステムを活用させるゲームになってますね。
携帯からスマホへの移植が中途半端で、インタフェースが酷すぎるのが残念です。全然整理されていなくて無駄にタッチする回数は多いですし、とにかく必要な情報が欲しいところに用意されていなくてイライラします。ボタンの位置も適当でよく誤爆します。ヒットポイント社のゲームは基本そんな感じですが、このゲームは特に適当ですね。安いアプリだからそこまでこだわっていられないというのも分かりますが…。
シンプルな見た目なのに意外と難易度が高く、色々な要素が詰め込まれたRPGでした。移植するならもっと面白いタイトルがあるとは思うのですが、単体で見れば分かりやすくコンパクトにまとまってるので良いのかもしれませんね。3DS版は改良されているのか気になるので、購入しようかどうか悩んでいるところです。