ケイオスリングスの感想 – スマホで3DRPGの衝撃

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順番が前後してしまいましたが、Vita用RPG「ケイオスリングス(公式サイト)」の感想など。元々スマホで展開されているケイオスリングスシリーズの第一作で、iPhone3Gの時代にスマホでメディア・ビジョン制作の本格的な3DRPGが遊べるというインパクトのある作品でした。密室に突然閉じ込められた主人公達が命を賭けた戦いを強要されるというアドベンチャーゲームのようなダークなストーリーと、二人一組での戦闘が特徴的です。

様々な機種に移植されており、普通の配信ゲームのほかにも、「ケイオスリングス3 プリクエル・トリロジー」のセットやPSM版もリリースされています。今回はVitaの単体版がフリープレイになっていたということで、復習がてらプレイしてみました。色々あってiOS版、Android版、PSM版、セット版に続いて5つめのプレイとなりました。最後まで遊んだのはPSM版とこの単体版だけですが。

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まだDSやPSPが現役だった時代にスマホでこんなグラフィック。これはもうゲーム機の出番が無くなっちゃうのではないかと思わせるような衝撃でした。それから約5年が経過した現在、スマホが確実にゲームの主役になっていますが、ちょっと期待とは違う方向性になってしまいましたね。さすがに今見るとちょっとショボいので、フリープレイにはあまり向いていなかったような気がしますね。

容量的にかなり厳しい中でそこそこ長いRPGに仕立てる必要があったらしく、4本の似たような短編ストーリーをクリアすると最後の展開に進むことができるようになっています。2本目以降へはお金や特殊能力を引き継げる上、育成システムを理解していくことで効率よく進められるようになっていくバランスですね。4周はどうしても単調になってしまいますが、その中でもプレイヤーが上達し、ストーリーの真相に迫っていけるのは上手い工夫でした。

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ワイルドアームズスタッフが関わっているということで、後期のワイルドアームズを思わせる要素もいくつか。簡単に覚えられるスキルがあれば、いつでもザコ戦との戦闘を完全にOFFにできるのはその代表と言えるでしょう。純粋に快適ですし、稼ぎと進行を別々に行うなど自由なスタイルで遊べます。それ以外にもパズルになっているフロアや特殊能力名のセンス、一部の画面表示などはその雰囲気を引き継いでいます。

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狙いすぎ!!

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戦闘システムはオーソドックスなコマンド制ターンバトルながら、独特の要素がいくつか盛り込まれています。最大の特徴は各自がコマンドを入力する「ソロ」と、2人で1つのコマンドを入力する「ペア」の使い分けです。ペアを選ぶとソロよりも各種行動の効果が上がり、しかも各自のスキル等の効果を共有できる一方、敵の単体攻撃も2人で受けるというもの。優勢の時は一気に攻め込み、劣勢の時は受けるダメージを減らすなどの判断が求められます。

それと攻撃を当てるなどすると増加する「ブレイクゲージ」による優勢・劣勢の変化や、かなり大きな影響を持つ3すくみの属性など、シンプルながらも他のゲームとはまた少し違ったシステムは独特の魅力があります。優勢時にペアで弱点属性の攻撃を叩き込めば、ボスを一撃で沈めるほどの豪快なバランスは結構好きです。逆に劣勢時に1人やられたりするとどうにもなりませんが。

敵を倒すと入手できる「ジーン」を装備することで特殊能力を得られるシステムも、分かりやすくてそれなりにキャラのカスタマイズができる面白いものです。複数の特殊能力を得られるジーンを最大3つまで装備でき、組み合わせ次第で様々なタイプのキャラを簡単に作ることができます。どのシステムもアプリゲームとしてシンプルな遊びやすさと幅の広さを両立させているものでした。

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3本のケイオスリングス1。数年前に配信されたPlayStation Mobile版と比べると、ロード時間が改善されて動きも若干スムーズになりました。見た目は文字が多少大きく読みやすくなった程度でしょうか。相変わらずタッチ操作よりもボタン操作は快適です。PSM、プリクエルトリロジーのセットと微妙な位置での移植が多かったこのタイトルが、やっと単体で出られたのは良かったですね。

王道ながら独特のシステムとストーリーを兼ね備えたこのゲーム、今となっては単調で古臭いと言われても仕方ない部分も多くあります。ですが、リリース当時に受けた衝撃と、環境の問題でなかなか遊べなかったこともあって妙に愛着があるゲームです。余裕のあるRPG好きなら、こんなゲームもあったんだと体験してみるのも悪くないと思います。

ところで、単体版にはVita移植を手がけたバレット社のスタッフロールは入ってないんですかね。