近々セールが始まるということで、3DSのケムコRPG「聖戦クロニクル」の感想など。ドット絵による昔ながらのグラフィックや、人間キャラと「守護獣」というキャラがペアになる戦闘システム、素材を集めて装備を強化していくシステムなどが特徴的。
開発はねこあつめやクロノスアークなどのヒットポイント社。スマホからの移植作品で、ガラケー、スマホ、PSPでも配信されていた「幻想クロニクル」の続編にあたる作品になります。世界観のつながりは少しだけありますが、知らなくても楽しめるレベルだと思います。システムもクロノスアークや幻想クロニクルの正統進化です。
オリジナルのスマホ版はタッチ操作に特化した独特のインターフェースを採用していましたが、3DS版はボタン操作に特化されました。移植にあたっては難易度ハードが追加されたほか、追加課金要素の撤廃、下画面のマップ表示などが行われています。
スマホ版は以前にクリアしたことがあったのですが、かなり面白かったので3DS版もプレイしてみました。結果としては、スマホ版を上回る遊びやすさで大満足。裏ボスまでハードで撃破するぐらいには楽しみました。
起動すると、ケムコのRPGとしてはかなり気合いの入った歌入りのオープニングムービーから始まります。スマホ版の頃はムービーを観ただけでも、今までのケムコRPGとは違う、というこの作品にかける意気込みが伝わってきたものです。この感覚が伝わる人がどれだけいるんだろうか…。
ストーリーは神を殺したい少年が地底世界で少女や死神と出会い…というところから始まるちょっとダークなお話です。主人公がかなりの不思議クンなのは好き嫌いが分かれそう。おかげでダークな雰囲気もだいぶ和らいでいるような。脱・王道を目指したというのは感じられました。ボリュームはクリアまで20時間程度となかなかのものです。
メニュー画面もちょっぴり凝ったキャンプ風のデザインになっており、毎回とても雑な感じのしていたヒットポイント製RPGのメニューとは一味違います。これは上画面なのでタッチ操作はできませんが、いい雰囲気ですね。低価格ゲームとしては細かい部分まで作りこまれていて好感が持てます。
ゲーム画面のグラフィックはドット絵です。キャラがあまりにも某MMORPGっぽいのが気になるところではあります。これは見た目で胡散臭いと敬遠されても仕方ないかもしれません…。せっかくドット絵が作れるメーカーなんだから、もうちょっと独自色を出してほしかったですね。
マップ上に落ちている素材は、接触するだけで拾えるようになりました。クロノスアークなどの旧作だとボタンを連打して拾っていたのに比べるとかなりテンポが向上しています。素材集めが重要なゲームだけに、細かい進化が嬉しいところです。
戦闘画面はオーソドックスなフロントビュー。ヒットポイント社の他作品同様、敵がよくアニメーションします。技のエフェクトなんかは豪華に仕上がっており、ただ懐かしいだけではありません。戦闘速度は2倍速、3倍速が選ぶことができ、よく動く割にはテンポが良好です。
聖戦クロニクル最大の魅力は歯応えのあるバトルです。オリジナル版でも難易度は決して低くありませんでしたが、ハードが追加されたことでより緊張感のあるバトルが楽しめるようになりました。ザコ戦でも補助スキルは必要不可欠、即死魔法や逃走なども駆使しつつ切り抜けていく緊張感がたまりません。
ボス戦ともなればその強さはかなりのものです。初見では耐えられるわけないだろうと思うような攻撃を浴びて全滅することもしばしばです。対策を立ててパーティーを強化・編成し、時にはやられる前にやる、時には相手を無力化するような、豪快なバランスが楽しめます。いい意味で昔っぽい大味なゲームバランスでした。
敵が手強いからこそ、素材を集めて装備を強化するシステムも活きてきます。とにかく戦力が必要になるので、装備は可能な限りきっちりと強化することが求められます。逆に強化しないと厳しすぎると感じるかもしれません。
難易度ハードだと敵のアイテムドロップ率が上がるので、オリジナル版では不毛なほど厳しかったアイテム集めも現実的な難易度におさまっています。これによって特にクリア後要素はかなり遊びやすくなりました。前述したようにマップの素材拾いも快適になっている上、モンスター図鑑の機能が向上しており、気軽に強化を楽しめるようになっています。
守護獣とペアを組むシステムも戦闘のバリエーションを広げてくれます。守護獣は直接指示はできないものの、パートナーが受けるダメージを割合で負担してくれるという特性を持っています。回復役には防御に秀でた守護獣、補助役にはスピードに秀でた守護獣を組ませるなど、プレイヤー次第で様々なカスタマイズができます。
そのほか、超強力な合体技や、「魔星石」でキャラに自由にセットできる魔法、装備による守護獣のカスタマイズなど、使えるシステムが豊富です。値段を考えるとかなり本格的でやり応えのあるシステムが搭載されていると言えるでしょう。
ゲームのボリューム、充実した戦闘システム、歯応えのある難易度と、非常に骨太なRPGでした。これはもっと評価されていいゲームだと思っています。やっぱり見た目がアレっぽいのとか、絵柄が売れ筋っぽくないのとか、そこら辺で敬遠されてるんでしょうかね。値段相当のショボさもありますが、そこら辺を理解しておけばかなり遊べます。RPG好きにはオススメ。