PSP用ソフト「PC Engine Best Collection 天外魔境コレクション」に収録されている「天外魔境 ZIRIA」をクリアしたのでその感想など。1989年に発売された天外魔境シリーズの第1作。世界初のCD-ROMを使ったRPGらしく、当時としては画期的なボイス入りのイベントや、ビジュアルシーン、坂本龍一氏の音楽が取り入れられています。和風の雰囲気を持つ「ジパング」という独特の世界観が特徴的です。システムはドラクエタイプのオーソドックスなコマンド式RPGで、シリーズの中では珍しくターンの最初に全員分のコマンドを一括入力するものとなっています。9月頃に購入してからプレイしていたのですが、なかなかテンションが上がらず、長い中断をはさみながらようやくクリアにこぎつけました。
ドラクエ4やFF3が発売される前という時代に、漢字混じりの読みやすいメッセージやボイスなど、かなり先進的だっただろうということは想像に難く ありません。イベント時にはボイスを入れ、特に重要なイベントはビジュアルシーンを入れるという形式は、今のゲームにも通じるものがあります。アイテムや 術の解説機能や、移動中のダッシュなども、当時としては便利なものです。和風の独特の雰囲気もなかなかいい味を出しています。シリーズの基礎となり、シ リーズを通しての名物キャラが生まれるなど、この世界観を新たに作り出したということ自体がこのゲームの一つの功績でしょう。ターン制バトルなのに、素早 さがものすごく重要というゲームデザインもちょっと新しいかもしれません。
ゲームとしては、バランス調整がイマイチな感じでした。序盤はパ ラメータが低すぎる上、1回のレベルアップの効果がほとんど体感できないため辛い展開です。ボスがまたやけに強く、戦うなら全てザコから逃げるぐらいの心構えで挑まなくてはいけませんし、たいていこちらの攻撃力を上回る回復手段を持っていたり、時に運がよくないと勝てなかったりと、嫌になってきます。不必 要に難しいのに、やりがいがあるわけではない微妙さでした。一方、終盤になると一部の敵から得られる経験値がインフレを起こし、こちらの素早さがどんどん 成長する上に、補助魔法も強力なものが揃ってくるので、逆に難易度が低くなってしまいます。調整不足かなと感じる部分ですが、昔のゲームならこんなもので しょうか。
その他、ダンジョンでのエンカウント率が妙に高く、さらには自分より素早い敵が物凄い高確率で先制攻撃を仕掛けてくるのが厄介で した。また、戦闘時のメッセージが遅く、高速で送るにはボタンを押しっぱなしにしなくてはならないなど、昔のゲームならではの遊びにくさも目立ちました。 戦闘不能からの復活手段が無いだけでなく、仲間が一人でも戦闘不能になったら、所持金半分で強制帰還させられるシステムも好きになれませんでした。敵の攻 撃力が物凄く高く、時に事故みたいな形で戦闘不能になることがあるので、これは厳しい仕様でした。
良くも悪くも実験的な要素が多く、また古 臭いゲームでした。実際古いのですが。ロード時間はPSP-2000以降のキャッシュが効いているのか、割と高速でストレス無く遊ぶことができました。 ディスクメディアのRPGの原点ということで体験する価値はあったとは思いますが、あまりにもレトロゲームなグラフィックとバランスなので、耐性のある人 でないと厳しいでしょう。
しかし、この天外コレクション…。やっと1本クリアしたと思っても、残り2本も入っているんですよね。積みゲーとしては圧倒的な重量感だ…。