ケイオスリングスΩの感想 – ストーリーとシステムの外伝2本立て

chaoso-01

Vitaでも単体版がリリースされたということでVita用RPG「ケイオスリングスΩ」の感想など。スマホ用RPGケイオスリングスシリーズの2作目を移植したもので、初代の一万年前の世界を舞台とした外伝的な作品です。システムやグラフィックは初代のものを多く引き継いでいるほか、クリア後にはスマホ版リリース当時にアップデートとして配信された本編をも超えるような大ボリュームのおまけダンジョンが収録されています。

以前Android版のセールがあったときにも購入したのですが、うちのXperia Zが対応機種ではなかったために長いことプレイできずにいました。それがVita版「ケイオスリングス3 プリクエル・トリロジー」のセットとして収録されたのでやっとプレイできるようになりました。長かった…。

chaoso-02

ケイオスリングス1の一万年前を描いたストーリーは、前作をプレイしているのが前提とも言えるような外伝的なお話です。その分予想をいい意味で裏切ってくれる展開で一気にプレイしてしまいました。主人公が最初から既婚者で、親子愛や世代交代、命をテーマにした重いストーリーはこの手の和製RPGとしては珍しくて新鮮です。日本だけをターゲットにしたゲームではないからこそできたのでは。

前作ではストーリーが4本入っていましたが今作は1本(+エクストラ)だけです。本編のボリュームとしてもあまり多くはなく、グラフィックなども前作とあまり変わらないので、新作RPGというよりも前作の追加シナリオのようなものですね。前作はさすがに後半になってくるとマンネリ化してきましたが、こっちはそんなこともありませんでした。グラフィックに関してはもともとiPhone3Gぐらいで動いていたってことを差し引いてあげてください…。

chaoso-03

システム面は基本的には前作と同じであまり新鮮さは感じられません。ですが前作から引き継がれた有利なターンを奪い合うブレイクシステム、シングル・ペアの切り替え、属性の3すくみ、敵から特殊能力を覚えるジーンなどのシステムは健在です。それぞれはシンプルなものですが、有利な状況を奪い合う独特な面白さが味わえます。

かなりの強敵が相手でも弱点を上手く突けばあっさりと倒すことが出来る一方、そのためには相応のリスクを背負う分かりやすいバランスが見事です。敵の行動パターンのバリエーションが前作よりも増えていて、難易度も少々上がり、さらに熱い駆け引きが楽しめるようになっていました。

chaoso-04

Vita版ということでもちろん物理キーでの操作にも対応。ゲーム機に慣れた私のような人間にとってはこれだけでもかなり遊びやすくなったと感じます。物理キーに最適化されているわけではないので若干不親切だと感じる部分はあるものの、やっぱりRPGはこれじゃなくちゃ。

クリア後のお楽しみ要素として、本編のシステムやグラフィックを流用したダンジョン攻略型のエクストラモードが収録されています。スマホ版では数回にわたるアップデートで拡張された部分で、本編とは大きく異なる軽~いノリながら歯応えは十分です。広いダンジョンをどこからどのように攻略するか、敵レベルをどう選ぶかなど自由度の高さが最大の魅力です。本編よりもむしろこっちにハマりました。

敵が属性や補助、回復などのシステムを駆使してくることもあって難易度は高めです。本編を圧倒的に上回る強いボスに対して、こちらはじっくり探索して装備を充実させ、稼ぎポイントを見つけ出して効率的にレベルを上げ、あらゆるシステムを活用して攻略していくというRPGの面白さが凝縮されています。隠しボスなどは恐ろしい手ごわさですが、こちらの戦力もインフレを起こして対抗できるようになるのが爽快です。本編がストーリーにおける外伝なら、エキストラモードはシステムにおける外伝と言えるでしょう。

前作をプレイしていないと楽しめない部分が多く、一方で前作からの進化があまりないという微妙なポジションですが、ストーリーもエクストラもそれを吹き飛ばしてくれるほど楽しめました。ちなみに前作ではあまり評判の良くなかったダンジョン内パズルもありますが、今作では報酬をあきらめればスキップできるようになっています。前作の不満をある程度解消しつつ、さらに深くなりました。見た目以上に豪華な外伝2本立てでした。